世界で初めての総合レジャー基地

別荘に泊り、馬で野を駆け、気球で空に遊び、カヌーで激流を下り、フィールドアーチェリーで射的を競い、テニスで汗を流す、といった具合に、水陸空のあらゆる遊び、さらには、工芸や陶芸、文芸の類から自然観察の野外科学に至るまで、およそ、レジャータイムを楽しむ全種目を用意することにした。

この程度の構想は、今では珍しくはないが、昭和四十五年の頃には、目を見張るようなユニークさがあったのである。

このあと、日本に続々と登場した総合レジャークラブは、すべて、この那須の基地をコピーしたものだ。

ともかく、一番」を売りものにする企画は、大ヒットとなった。

企画の段階で、人びとは、構想として並べた「世界初」「日本初」という「一番」にとびついたのだ。

「一番」を買う、「一番」を手中にすることに、人びとは、無上のよろこびを感じるらしい。

この点をつかむことが、企画の要諦なのである。

三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)