わが国固有の十三夜~後の月(三上靖史)

十三夜は旧暦九月十三日の夜のことで、八月十五夜の月に対して"後の月"といい、また、十五夜には里芋を供えますが、十三夜のころには豆や栗が出まわって供えるところから、豆名月、栗名月ともいいます。

古来、十五夜は観月の好時節とされ、月下に清宴を張り、月を祭った中国の風習が、わが国にも伝わったものとされているのに対し、この十三夜の行事は、醍醐天皇が延喜十九年(九一八年)に始められたとも、宇多法王がこの夜の月を無双と賞されたのによるともいわれ、わが国固有のものであるようです。

なお、十五夜を祭ったら十三夜も祭る。

もし十五夜をして、十三夜をしないとよくないともいいますが、これは物事に結末をつけるという意味でしょうか。

一葉の作品に「十三夜」というのがありますが、不幸な結婚に悩むお関が、いまは辻車夫となっている昔の恋人に、十三夜の晩に遭遇するとの内容です。

三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)