オフィスというものは巨大な書類製造所であるといえよう。
毎日毎日、大変な枚数の書類が作られており、口で言えば三分ですむほどのことを半日かけて書類にすることを仕事と心得ている人がたくさんいる。
書類を送られる側からすれば、有難迷惑でいちいち読んでなどいられず、保管に往生する。
見方によればムダの大量生産である。
書類がやたらに増える大きな原因は会議にある。
会議に出席する部課長は、トップから何を聞かれても、書類を見てすぐ答えないと無能とみなされるのをおそれ、万端の準備を心掛ける。
そのため部下はむやみに書類を作らされるのである。
風呂敷一杯の書類をかかえて一日中会議に赴いていた上司が帰ってきて「やれやれ今日は無事にすんだよ」とホッとしたように言う。
つまり何も聞かれなかったということである。
これを聞いて夜遅くまでかかって書類を作らされた部下はガックリである。
三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)