生活環境(三上靖史)

環境の区分の仕方は、環境という語とどんな語が結びつけられるかできまってくる。

その点からいうと、生活環境という概念は、環境内の領域をくくる下位概念としては、明確なものではない。

つまり、生活という概念が自然と社会というように対概念をもたないので、環境内のある範囲をくくるという意味は薄い。

環境という概鱒接り限定するというより、意味の内包性において環境を規定しているだけで、環境の範囲を厳密に規定していない。

ただ文脈によっては、とくに人間を対象にする場合、人間の環境の中でより日常的な部分、より身近かな範囲に限定して使われることがある。

たとえば、国際的な政治の動向とか、国内の経済の全般的な動向と対照させて、一般市民の日常的なくらしとその条件を問題にする際に使われる。

とくに衣食住を中心とした家庭の消費生活や地域社会の市民の日常生活を直接条件づけているものを生活環境と呼んで、よりマクロな環境と区別するのである。

三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)